
東京大学 物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター板谷研究室

レーザー学会誌「アト秒レーザー科学の新展開」特集号へ寄稿しました。
アト秒科学は、高強度レーザーを基盤技術として、高次高調波発生とアト秒パルス計測の確立を契機に大きく発展してきました。本記事では、アト秒パルスの発生・計測の原理実証から、原子・分子・固体中の電子ダイナミクス観測への展開を振り返っています。また、中赤外OPCPA光源や高繰り返しYbレーザーの発展により、軟X線領域での精密分光が可能になりつつある流れを整理しました。日本におけるアト秒科学については、大型拠点とは異なる分散的な研究文化の中で、多様な光源技術と分光手法が発展してきたことを紹介しています。さらに、構造化光や空間自由度の制御など、光のコヒーレンスを積極的に設計する新しい方向性にも触れています。今後は、物質科学や加速器光源との連携に加え、より高強度のレーザー場領域への展開も重要になると考えられます。アト秒科学が、電子ダイナミクスの観測から、時間・空間・位相を統合的に扱うコヒーレンス制御の光科学へと展開していく可能性を概観しました。
板谷治郎, "アト秒科学の四半世紀", レーザー研究「アト秒レーザー科学の新展開」特集号, Vol. 54, No. 4, p.170-171 (April 2026).


