東京大学 物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター板谷研究室

回折格子からの共鳴的な光電子放出の論文がACS Applied Nano Mater.に掲載されました。

ナノチップ先端に光を照射すると、局在型プラズモンが誘起され、光の波長以下のスケールでの電場増強が生じることはよく知られています。とくに高強度レーザー光を照射すると、ナノチップ先端から一種のトンネル過程によって光電子が放出されます。本研究では、回折格子の表面に伝搬型プラズモンが発生する条件下で中赤外光を照射することにより、共鳴的に光電子放出が増大する現象をはじめて観測しました。この現象は、局在型プラズモンと伝搬型プラズモンのつくる表面電場が干渉することによるものと考えられます。シミュレーションとの比較によって、回折格子表面の「突起」の曲率半径、電場増強を決定しました。また、非常に興味深いことに、共鳴条件での光電子の放出角は非常に狭くなることが実験的に示されました。これらの結果は、ナノ構造体におけるプラズモンを光で制御することにより、フェムト秒スケールの電子線源につながるものと期待出来ます。

Tomoya Mizuno, Kengo Takeuchi, Keisuke Kaneshima, Nobuhisa Ishii, Teruto Kanai, and Jiro Itatani, "Resonant-Like Field Enhancement by Nanoscale Grating-Coupled Propagating Surface Plasmons and Localized Surface Plasmons in the Mid-Infrared Range: Implications for Ultrafast Plasmonic Electron Sources", ACS Appl. Nano Mater. 2, 7067-7073 (2019).

[https://doi.org/10.1021/acsanm.9b01597]