東京大学 物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター板谷研究室
固体高調波発生における非線形伝搬に関する実験がOptics Expressに掲載されました。
固体中に中赤外パルスを集光して得られる高次高調波は、バンド構造中を強電場で駆動される電子系の極端非線形応答であり、その統一的な理解が求められています。本実験では、GaAs半導体結晶を用いて、透過配置において結晶の厚さによる非線形伝搬の効果を示しました。また、反射配置の高次高調波発生では、伝搬長が短いことから、非線形伝搬の影響のほとんどない条件での高調波スペクトルの観測に成功しました。この結果は、バルクでの固体高調波発生における非線形伝搬の効果をはじめて明確に示したものであり、強電場で駆動される電子系の素過程を理解する上での重要な知見となります。
Peiyu Xia, Changsu Kim, Faming Lu, Teruto Kanai, Hidefumi Akiyama, Jiro Itatani, and Nobuhisa Ishii, "Nonlinear Propagation Effects in High Harmonic Generation in Reflection and Transmission from Gallium Arsenide", Optics Express 26 (22), 29393-29400 (2018).
