東京大学 物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター板谷研究室

波長可変で位相安定な中赤外パルス発生がOptics Expressに掲載されました。

Yb系固体レーザーは、広く普及しているTi:sapphireレーザーを越える高平均出力の極短パルス光源として期待されています。ただ、Ti:sapphireレーザーでは容易に30 fs程度の増幅パルスが得られるのに対し、Ybレーザーで増幅可能なパルスの時間幅は典型的にはサブピコ秒であることから、Ybレーザーをベースにした極短パルス光源や光パラメトリック光源の原理実証が必要でした。本実験では、Yb:KGWレーザーシステム(パルス幅190 fs)の出力に対して、マルチプルプレート・パルス圧縮法によって6.5 fsの極短パルスを発生できることと、キャリアエンベロープ位相安定で波長可変な中赤外フェムト秒パルス発生が可能であることを示しました。この結果は、Ybレーザーがチタンサファイアレーザーを越える安定性を持つ極短パルス光源としての可能性を示すものです。

Nobuhisa Ishii, Peiyu Xia, Teruto Kanai, and Jiro Itatani, "Optical Parametric Amplification of Carrier-Enevelope Phase-Stabilized Mid-Infrared Pulses Generated by Intra-pulse Difference Frequency Generation", Optics Express 27 (8), 11447-11454 (2019).

[doi:10.1364/OE.27.011447]