東京大学 物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター板谷研究室

固体高調波発生発生の論文がPhys. Rev. Bに掲載されました。

板谷研ではこれまでに、波長3.5 μm帯の高強度中赤外光源の開発を進めてきました。その光源を用いて、ペロブスカイト半導体における高次高調波発生実験を行い、その実験結果を第一原理計算によって再現することに成功しました。精密な実験と理論計算との比較によって、従来発生機構として考えられてきた高強度光電場で駆動される電子の運動だけでなく、価電子帯から伝導帯に励起されるキャリアの応答の非線形性が重要な役割を果たすことを明らかにしました。本実験は、京大化学研究所の金光教授・廣理准教授のグループとの共同研究で、D3(当時)の夏さんが精力的に行ったものです。

プレスリリース「光と固体の量子力学的な相互作用による新たな光の発生機構を解明 ―高次高調波光の発生機構の解明に向けた新たな知見―」(京都大学、東京大学、量子科学技術研究開発機構、筑波大学)[Link]

Y. Sanari, H. Hirori, T. Aharen, H. Tahara, Y. Shinohara, K. L. Ishikawa, T. Otobe, Peiyu Xia, N. Ishii, J. Itatani, S. A.Sato, and Y. Kanemitsu, "Role of virtual band population for high harmonic generation in solids," Phys. Rev. B (Rapid Communication) 102, 041125(R) (2020).

[doi: 10.1103/PhysRevB.102.041125]

(上図)ペロブスカイト半導体における高次高調波発生実験の模式図。